民泊の運営は危険?起こり得るリスクやトラブルの事例などを紹介

民泊は副業として注目されているものの、実際の運営にはさまざまなリスクやトラブルが潜んでいます。事前に対策を講じないと、大きな問題に発展するでしょう。
この記事では、民泊の運営における具体的なリスクと防止策について詳しく解説します。
民泊の運営における危険とは?起こり得る5つのリスク

民泊は手軽に始められるビジネスとして注目されているものの、さまざまなリスクが伴います。伴うリスクを理解し、適切な対策を講じて、民泊運営をより安全に行いましょう。
ここでは、民泊運営において特に注意が必要な5つのリスクについて詳しく解説します。
近隣住民とのトラブル
民泊を運営する際のリスクとして、近隣住民とのトラブルが挙げられます。特に、マンションや住宅地の物件で宿泊者の出入りが激しくなると、静かな住環境が乱されると感じる住民も少なくありません。
例えば、深夜に大声で会話したりゴミを外に放置していたりすると、近隣住民から苦情が寄せられるケースがあります。このようなトラブルは、近隣住民との関係を悪化させ、最終的には運営停止を求められる可能性があります。
罰則が科せられる
法律や規制を遵守しないと、さまざまな罰則が科せられる可能性があります。仮に「住宅宿泊事業法」の届出をせずに営業した場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金です。
地域によっては、特定の条件を満たさない場合に罰金が科せられる場合もあります。例えば、東京都大田区では民泊営業に厳しい基準が設けられており、住居専用地域での営業が制限されています。
京都市では「宿泊日数の制限」や「現地管理者の配置」を厳守しなければなりません。これらのルールを守らなければ、営業許可の取り消しや罰金の対象です。
違反が発覚した際には、行政から営業停止命令や業務改善命令が下される可能性があることに留意してください。
犯罪に巻き込まれる
民泊の運営において、最も深刻なリスクの一つが「犯罪に巻き込まれること」です。民泊は誰でもインターネットを通じて簡単に予約できる仕組みのため、利用者の中には身元が分からない、または悪意を持った人物が紛れ込む可能性も否定できません。
例えば、宿泊者が室内の備品を盗んだり、クレジットカードの不正使用を行ったりといった窃盗・詐欺事件を起こされるリスクです。また、違法薬物の取引や売買、風俗関連の不正営業の場として施設が使われてしまうなど、宿泊施設が犯罪行為の温床になるケースもあります。
深夜の騒音やごみ出しのルール違反などによって近隣住民とトラブルが発生し、それがエスカレートして警察沙汰になることもあるでしょう。こうした場合、民泊オーナーは管理責任を問われる立場となり、地域との関係悪化や営業停止につながる恐れがあります。
利用者とのトラブル
民泊運営において、宿泊者とのトラブルは避けて通れない課題の一つです。特に、ルールを守らない利用者や、サービス内容に誤解を持ったまま宿泊するケースでは、クレームやトラブルに発展する可能性があります。
例えば「パーティー禁止」と明記していても、大人数で集まって深夜まで騒ぐ、ゴミの分別を守らずに廊下に放置するなど、基本的なマナー違反が多く見られます。こうした行為は、近隣住民からの苦情につながり、オーナーの大きなストレスとなるだけでなく、地域との信頼関係を損なう原因です。
また「洗濯機がないとは思わなかった」「キッチンの備品が足りない」といった、事前の案内不足や思い込みによって、期待外れと感じた宿泊者が低評価のレビューを投稿する場合もあります。こうした評価は今後の予約に直結するため、軽視できません。
感染病を発症する
民泊運営において、感染症のリスクは見過ごせない重要な課題の一つです。民泊は不特定多数の人が出入りするため、宿泊者がウイルスや細菌を持ち込むリスクが常に存在します。
感染病が発生した場合、宿泊者だけでなく、近隣住民や他の利用者にも影響を及ぼすでしょう。
例えば、発熱や咳などの症状がある宿泊者がチェックインした場合、室内のドアノブやリモコン、洗面所などを通じて他の利用者にウイルスが広がる可能性があります。特に、下記のような感染力が強い病気は、短期間で他の宿泊者や清掃スタッフ、近隣住民にまで影響を及ぼすことがあります。
- インフルエンザ
- ノロウイルス
- 新型コロナウイルス など
また「新法民泊」は、ホテルや旅館などの旅館業法とは異なり、衛生に関する厳しいルールが定められていないことも民泊で感染病が発症しやすい理由の一つです。
民泊の運営で起こりやすいトラブル事例

民泊の運営には、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。特に、宿泊者との関係が密接であるため、些細な問題が大きなトラブルに発展することも少なくありません。
ここでは、民泊の運営で起こりやすいトラブル事例について解説します。
備品を持ち帰り・破損された
民泊運営において、最もよくあるトラブルの一つが「備品の持ち帰り」や「破損」です。短期利用が中心の民泊では、宿泊者の入れ替わりが早いため、室内の備品が紛失したり壊されたりするリスクが高くなります。
例えば、食器を誤って割ってしまった場合、オーナーは補填を求められるものの、宿泊者がその責任を認めないこともあります。また、宿泊者が備品をお土産として持ち帰るケースもあり、意識の違いによりトラブルが起きるケースもあるでしょう。
ソファやテーブルに傷をつけられたり、壁に穴を開けられたりと、大きな破損トラブルが発生する場合もあります。
騒音で近隣から苦情が寄せられた
民泊を運営する際に、多く寄せられる苦情の一つが騒音問題です。
特に、週末や連休の宿泊では旅行気分が高まり、宿泊者が夜遅くまで盛り上がることが多くなります。たとえば、スピーカーで音楽を大音量で流したり、友人同士で深夜まで談笑するなど、日常生活とは異なる音の発生がトラブルの原因になるでしょう。
住宅街の近隣住民は静かな暮らしを求めているため、少しの物音でもストレスを感じやすく、苦情がオーナーや管理会社に寄せられることがあります。
自治体に苦情が入ると、営業停止や罰金などの行政処分につながる可能性があることに留意してください。
禁煙部屋で喫煙されてしまった
禁煙をルールとして掲げている民泊があるものの、ルールを守らない宿泊者が一定数存在しており、対応に悩まされている運営者も少なくありません。例えば、下記のような箇所にタバコの臭いが染み付いた場合、通常の清掃では完全に除去できないため、オゾン脱臭機や専門業者による特殊清掃が必要です。
- カーテン
- 壁紙
- ソファ
数万円単位の費用がかかるうえ、臭いが残っていると次の宿泊者から「不快だった」と低評価レビューを受ける原因になります。
また、タバコの不始末による火災のリスクも看過できません。ベッドやカーペットなど可燃性の高い素材がある室内で喫煙をすれば、火災に直結する恐れもあります。物件の損壊だけでなく、周囲の建物や住人を巻き込む重大事故に発展する可能性もあり、民泊オーナーにとってはリスク管理上の大きな課題です。
外国人が民泊を利用した際のトラブル事例

民泊は外国人旅行者にとって魅力的ではあるものの、特有のトラブルが発生する場合があります。トラブルは、文化や言語の違いから生じることが多く、運営者にとっては予期せぬ問題となるでしょう。
ここでは、外国人が民泊を利用した際のトラブル事例を解説します。
時間を守ってもらえなかった
外国人ゲストが民泊を利用する際、時間に対する感覚の違いや言語の壁によって、チェックイン・チェックアウト時にトラブルが生じます。
例えば、チェックアウト時間を過ぎても部屋を退室せず「まだ時間があると思っていた」と主張するケースです。これは、時差や現地時間に対する認識違い、または案内が正しく理解されていなかったことが原因です。清掃業者の手配や次のゲストのチェックインに影響を及ぼすため、運営者にとっては大きなストレスとなるでしょう。
また、チェックイン時間についても、事前に伝えていた時間より大幅に遅れて到着し、深夜に連絡なしで現れるケースも見られます。対面での鍵の受け渡しを必要とする場合には、深夜の対応によってセキュリティ面での不安も高まります。
意思疎通の難しさにより注意事項が伝わらなかった
外国人観光客が民泊を利用する際、言語や文化の違いによってハウスルールや注意事項が正しく伝わらないことがあります。特に、日本語に不慣れなゲストの場合、ルールを理解していないまま宿泊し、結果的にトラブルに発展するケースが見られます。
例えば「室内禁煙」と日本語で記載していたにもかかわらず、英語表記がなかったため、喫煙されてしまった事例があります。宿泊者に悪意はなくても、伝達ミスや認識違いが原因で苦情や損害が発生するでしょう。
また「チェックアウトは10時まで」と案内したつもりでも、ゲストが「午前中いっぱい利用できる」と勘違いし、退室が遅れて次の清掃や宿泊に影響したケースもあります。言葉の壁だけでなく、時間感覚や生活習慣の違いも意思疎通を難しくする要因です。
文化の違いによりルールを理解してもらえなかった
民泊を外国人観光客に提供する際、文化の違いによる誤解やルール違反は少なくありません。日本では当たり前とされるマナーや生活習慣も、他国では必ずしも共通ではなく、宿泊者が意図せずトラブルを引き起こすことがあります。
例えば、日本では「夜は静かに過ごす」ことが基本的なマナーです。欧米圏では「夜に友人と談笑する」「音楽をかけながら食事を楽しむ」が日常的なため、宿泊先で夜間に大声を出しても問題ないと考えるゲストもいます。
また、室内禁煙が常識とされる日本と異なり、一部の国ではレストランやホテルの室内でも喫煙が可能な地域があります。そのため「部屋の中でもタバコを吸っても問題ない」と誤解したゲストが、ソファや壁紙に臭いを残すなどの被害が出るでしょう。
本人に悪意がない分、トラブルが発覚しにくく、次のゲストの評価に影響を及ぼすこともあります。
民泊の運営における危険を防止する6つの方法

民泊を運営する際、適切な対策を講じれば危険を軽減できます。民泊運営における危険を効果的に防止し、安心してビジネスを展開しましょう。
ここでは、民泊の運営における危険を防止するための6つの方法を紹介します。
近隣住民からの理解を得る
民泊を安定的に運営するうえで、近隣住民との良好な関係づくりは欠かせません。利用者の出入りが多い民泊は、下記などで周囲の住環境に少なからず影響するため、事前の配慮と継続的なコミュニケーションが重要です。
- 騒音
- ゴミ出し
- 交通量の増加 など
例えば、営業開始前に物件の両隣や上下階の住民へあいさつに伺い「〇月から民泊を始める予定です」「宿泊者には夜間静かにするよう周知しています」と運営方針を伝えることで、警戒心を和らげられます。この際、印刷した「運営方針の案内チラシ」や「緊急連絡先一覧」を配布しておくと、トラブル発生時の連絡ルートが明確になり、住民からの信頼にもつながります。
運営開始後も、月1回程度で簡単な近況報告や、住民の声を聞く場を設けると「一方通行ではない関係性」が構築できます。ゴミの分別が正しく行われていない、夜間に話し声が気になるなど、住民からの小さな不満を早期にキャッチして改善する姿勢が大切です。
民泊についての法律を把握する
民泊を運営するには「住宅宿泊事業法(民泊新法)」をはじめ、旅館業法や消防法などの関連法規を正しく理解することが不可欠です。
例えば、住宅宿泊事業として運営する場合は、事前の届出と年間180日以内の営業制限が課されます。地域によっては、独自の条例で営業日や受付時間が厳しく制限されていることもあります。
また、火災報知器や避難経路の確保など、法令に基づいた設備基準を満たさなければなりません。法律を把握しておけば、無許可営業や罰則リスクを回避でき、安心して民泊の運営を続けられます。
安全な民泊仲介サイトを利用する
民泊を安全に運営するには、信頼性の高い仲介サイトを活用する必要があります。
例えば、下記のような大手プラットフォームは、ゲストとホスト双方の安全性を確保する仕組みを整えています。
- Airbnb
- Booking.com
- 楽天ステイ など
宿泊者の本人確認やレビュー機能、予約時の事前審査制度などが設けられており、トラブルの発生リスクを低減することが可能です。また、サイト内でのメッセージ履歴が残るため、万が一のトラブル時にも証拠として活用できます。
仲介サイトによっては、損害補償制度やホスト向け保険が提供されており、備品の破損やゲストによる損害に備えられます。
ルールを徹底して守ってもらう
民泊の運営では、宿泊者に施設のルールを正しく理解し、厳守してもらうことがトラブル防止の鍵となります。特に、下記のようなマナー違反は、近隣住民からの苦情につながるため、徹底したルール運用が必要です。
- 騒音
- 喫煙
- ゴミ出し
- 無断宿泊
チェックイン時は、多言語対応のハウスルールガイドを手渡し、サインをもらうことで「読んだ証拠」を残せます。室内には「夜間は静かに」「室内禁煙」「ゴミの分別方法」などを記載したイラスト付きの掲示物を設置し、視覚的にもルールを伝えましょう。
また、ルール違反時のペナルティ(例:喫煙罰金2万円)や、退去措置などを事前に明示すると抑止効果が期待できます。滞在中は「何か困ったことはありませんか?」と定期的なメッセージを送り、運営者が見守っているという意識を与え、ルールを意識させられるでしょう。
プロに清掃を依頼する
民泊の運営では、清掃の質がゲスト満足度や評価に直結します。自分で清掃を行うと時間や労力がかかり、仕上がりにムラが出ることもあるでしょう。
専門的な技術と知識がある清掃業者に依頼すれば、短時間かつ高品質な清掃を実現できます。水回りの衛生管理やベッドメイキング、除菌作業などとプロならではの丁寧な作業により、安心してゲストを迎えられます。
特に、衛生面においては、感染症のリスクを軽減するためにも重要です。例えば、トイレやキッチンなどの衛生管理は、素人では見落としがちなポイントが多く、プロに任せることで安心感が得られます。
また、業務の一部を委託すれば、運営者はゲスト対応や予約管理に集中でき、全体の効率化にもつながります。信頼できる業者に清掃を依頼して、運営の安定性を高めましょう。
民泊保険に加入する
民泊を運営する際は、万が一のトラブルに備えて民泊保険への加入が重要です。例えば、宿泊者が部屋で転倒してケガをした際や、家具家電が破損した場合、保険で補償を受けられるため、経済的な負担を軽減できます。
また、下記のようなトラブルにも対応してもらえるプランが多く、安心して営業を続けられます。
- 火災
- 水漏れ
- 東南
民泊は、多くの人が出入りするため、予想外の事故が発生しがちです。保険に加入し、万が一の事態に備えましょう。
地域によっては保険加入が義務化されている場合もあるため、法令遵守の観点からも適切な保険選びは欠かせません。
まとめ
民泊の運営は、副業としての魅力がある一方、さまざまなリスクやトラブルが潜んでいることを理解しておかなければなりません。
近隣住民との摩擦や法令違反、利用者とのトラブル、さらには感染症リスクなど、運営者は多くの課題に直面します。これらのリスクを軽減するためには、事前の対策が必要です。
民泊の運営を検討している場合は、この記事を参考に、リスク管理をしっかり行いましょう。