民泊のノーショーはどう防ぐ?原因と対策、OTA別の予防方法を徹底解説

民泊運営において大きな悩みの種となるのが「ノーショー(無断不泊)」です。予約したゲストが連絡なく来なければ、売上損失だけでなく、次の予約機会も失ってしまいます。本記事では、民泊でノーショーが発生する原因から、OTA別の具体的な予防策、発生時の対応方法まで、実践的なノウハウを詳しく解説します。
ノーショー(No Show)とは?民泊における基礎知識

ホテル業界では古くからある課題ですが、個人が運営することの多い民泊において、ノーショーの影響はより深刻です。まずは言葉の定義と、民泊特有のリスクについて理解しておきましょう。
ノーショーの定義と民泊業界での実態
ノーショーとは、予約をしたゲストがキャンセルの連絡をすることなく、当日になっても宿泊施設に現れない「無断不泊(無断キャンセル)」のことを指します。 多くの部屋を持つホテルであれば、1部屋のキャンセルが出ても他の部屋でカバーできるかもしれません。しかし、1日1組限定の一棟貸しや、部屋数の少ない民泊にとって、その1組が来ないということは、その日の売上が完全にゼロになることを意味します。特にインバウンド需要が回復し、海外からの予約が増えるにつれて、文化や感覚の違いからノーショーが発生するケースも散見されるようになっています。
ノーショーが民泊運営に与える影響
ノーショーのダメージは、宿泊料金が入らないという金銭的な損失だけにとどまりません。 たとえば、ゲストのために部屋を清掃し、ベッドメイキングを済ませ、ウェルカムドリンクやお菓子を用意していた場合、それらの準備にかかった労力や経費が無駄になります。食事付きのプランを提供している場合は、食材廃棄(フードロス)も発生します。さらに、「いつ来るか分からないゲストを待ち続ける」というホストの精神的なストレスも計り知れません。このように、ノーショーは民泊運営の健全性を損なう大きなリスク要因と言えます。
ノーショーが発生する3つの原因

なぜゲストは連絡もなしに来ないのでしょうか。「忘れていた」という単純な理由以外にも、予約のシステムや設定に原因が隠れていることがあります。
現地決済の予約が多い
ノーショーが発生する最大の原因は、現地決済での予約設定です。 予約時にクレジットカードで支払いを済ませていない場合、ゲストの財布からはまだ1円も出ていません。そのため、予約に対する責任感や心理的なハードルが低くなり、「予定が変わったから行かなくていいや」「連絡するのが面倒くさい」といった安易な気持ちで放置されやすくなります。金銭的な痛みが伴わない状態こそが、無断キャンセルを誘発する一番の要因です。
予約のハードルが低すぎる
予約確定までのプロセスが簡単すぎることも、リスクを高める要因です。 身分証の登録が不要だったり、キャンセルポリシーが緩すぎたりすると、ゲストは「とりあえず予約しておこう」という軽い気持ちで予約を入れがちです。中には、複数の宿を同時に予約しておき、直前になって一番条件の良い宿だけに行き、他は連絡もせず放置するという悪質な「二重予約(ダブルブッキング)」を行うゲストも存在します。手軽さは集客に有利ですが、同時に質の低い予約を招くリスクも伴います。
コミュニケーション不足
予約完了から宿泊当日まで、ホストとゲストの間で一度もメッセージのやり取りがない場合、ノーショーのリスクは高まります。 特に数ヶ月前の予約などでは、ゲスト自身が予約したこと自体を忘れてしまっているケースも少なくありません。また、ゲスト側が「予約が本当に取れているのか不安」と感じて、勝手に別の宿を予約してしまうこともあり得ます。ホストからの働きかけがない放置状態は、ゲストの来訪意識を薄れさせる要因となります。
OTA別のノーショー防止策

利用する予約サイト(OTA)によって、決済システムや客層が異なるため、対策もそれぞれ変える必要があります。主要なOTAごとの傾向と対策を見ていきましょう。
Airbnbでのノーショー対策
Airbnb(エアビーアンドビー)は、基本的にノーショーが起きにくいプラットフォームです。 その理由は、予約時にAirbnbがゲストから宿泊料金を全額徴収する「事前決済」の仕組みが徹底されているからです。ゲストはすでにお金を払っているため、行かなければ自分が損をするだけです。万が一ゲストが来なかったとしても、ホスト側には設定したキャンセルポリシーに基づいて宿泊料が支払われます。Airbnbでノーショー対策としてできることとして、より確実性を高めるために「本人確認済みゲストのみ予約可能」の設定にしておくほか、キャンセルポリシーを厳格などに設定しておくとよいでしょう。
Booking.comでの対策と課題
Booking.comは元々「現地決済」が主流であり、ゲストにとって予約のハードルが非常に低く設定されています。 対策としては、管理画面の設定で「事前決済(オンライン決済)」を必須にするか、Booking.comが代行して集金を行う「ペイメントサービス」を利用することが最も効果的です。また、クレジットカード情報の入力を必須にし、予約が入った時点でカードの有効性を確認することも有効ですが、個人のホストにはハードルが高い場合もあります。基本的には「現地払いを避ける設定」にしておくことが重要です。
楽天トラベル・じゃらんでの対策
国内大手の楽天トラベルやじゃらんは、日本人の利用者が多いため、比較的ノーショー率は低い傾向にあります。 しかし、これらも「現地決済」プランが存在するため油断はできません。対策としては、プラン作成時に「事前カード決済限定」のプランをメインにすることや、直前予約や繁忙期の予約に関しては、現地決済を受け付けない設定にすることなどが挙げられます。特に繁忙期は、とりあえず部屋を押さえたいという需要が高まるため、事前決済への誘導を強化しましょう。
今すぐ実践できるノーショー予防の具体策
OTAの設定変更だけでなく、日々の運営業務の中でできる予防策もあります。これらを組み合わせることで、ノーショーのリスクは限りなくゼロに近づけられるでしょう。
事前決済・オンライン決済の導入方法
前述の通り、最も強力な予防策は先に代金を受け取ることです。まだ現地決済を受け付けている場合は、すべてのOTAの設定を見直し、「オンラインカード決済」や「事前決済」のみに切り替えましょう。もし、どうしても現地決済を残す必要がある場合でも、「チェックイン予定日の3日前からはキャンセル料100%」といった厳しいポリシーを設定し、予約確認メールでその旨を強調して伝えることが大切です。
予約確認とゲストとのコミュニケーション強化
ゲストに待っている人がいると意識させることで、無断キャンセルは防げます。 予約が入ったらすぐにお礼のメッセージを送り、宿泊の3日前や前日には「お待ちしています」というリマインドメッセージを送りましょう。その際、「当日は何時頃に到着予定ですか?」と具体的な時間を質問するのがテクニックです。返信があれば来訪の意思確認になりますし、返信がない場合は警戒レベルを上げて電話確認などの対策を打つことができます。
キャンセルポリシーの適切な設定
キャンセルポリシーが「当日まで無料」や「前日まで無料」になっていると、ゲストは直前まで迷うことができます。 ノーショーを防ぐためには、少なくとも「7日前から50%」「当日は100%」といった、ある程度厳しいキャンセルポリシーを設定することをおすすめします。特に、「返金不可プラン」を作成して通常より安く提供すれば、確実に来てくれるゲストを優先的に集めることができ、経営の安定につながります。
ノーショー発生時の対応方法とキャンセル料請求

万全の対策をしていても、ノーショーが起きてしまうことはあります。その際、冷静かつ迅速に対応することで、被害(特にOTAへの手数料支払いなど)を防止できます。
ノーショー発生時の連絡・記録方法
チェックイン予定時間を過ぎてもゲストが現れない場合、まずはメッセージを送り、それでも反応がなければ電話をかけます。道に迷っているだけの可能性もあるため、いきなり責めるのではなく「到着時刻の確認」として連絡しましょう。 それでも連絡がつかず、チェックイン時間を大幅に過ぎた場合は、ノーショーとして処理します。この時、メッセージの送信履歴や電話の発信履歴を残しておくことが重要です。後でゲストから「行ったのに誰もいなかった」などの虚偽のクレームが入った際、OTAに対して「こちらは待機し、連絡も試みた」という証拠になります。
キャンセル料の請求手順と注意点
ノーショーが確定したら、速やかに各OTAの管理画面で「ノーショー報告(不泊報告)」の手続きを行いましょう。 Booking.comなどでは、この報告を忘れると宿泊したとみなされ、実際には売上がないのに成約手数料だけ請求されてしまう事態になります。 キャンセル料の請求については、事前決済であれば自動的に徴収されますが、現地決済の場合はゲストに請求書を送る形になります。しかし、海外ゲストの場合、法的な回収は困難で、費用対効果も合わないことがほとんどです。現地決済でのノーショーは「回収不能な損失」になる可能性が高いことを覚悟し、事前の予防(事前決済化)を徹底しましょう。
まとめ
ノーショーは民泊運営における避けられないリスクの一つですが、適切な予防策により大幅に減らせます。 基本は「事前決済」の徹底です。OTAごとの機能を活用して現地払いをなくし、予約直後や宿泊直前のメッセージでゲストとの接点を持ち続けることが特効薬となります。 もし発生してしまった場合は、感情的にならずに淡々とOTAへの報告を行い、無駄な手数料支払いを防ぎましょう。