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旅館業を譲渡したい方へ|許認可の承継手続き・売却相場を専門家が解説

旅館業を譲渡したい方へ|許認可の承継手続き・売却相場を専門家が解説

「高齢になり、今の旅館を引き継いでくれる人を探している」
「簡易宿所の許可を取って運営しているゲストハウスを売却したい」

宿泊施設のオーナー様から、このような事業承継・M&Aのご相談をいただくことが増えています。
旅館業(簡易宿所を含む)の譲渡は、民泊(住宅宿泊事業)の譲渡とは許認可の取り扱いや相場感において異なる点が多く、専門的な知識が必要です。

この記事では、旅館業に特化したM&A仲介を行っている専門家の視点から、旅館業を譲渡する際の「許認可の承継手続き」や「売却相場」について分かりやすく解説します。


旅館業の営業許可は「承継(引き継ぎ)」が可能

旅館業法に基づく営業許可(旅館・ホテル営業、簡易宿所営業など)を持つ施設を譲渡する際、最も大きなメリットとなるのが「許認可の承継が可能」という点です。

民泊(住宅宿泊事業や特区民泊)の場合、事業を譲渡しても買主はゼロから届出や認定を取り直さなければなりません。しかし、旅館業の場合は、2023年(令和5年)12月の改正旅館業法施行により、事業譲渡であっても手続きを踏むことで営業許可の承継が可能になりました。

営業許可を承継するメリット

事前の承認手続きを通じて許可を承継できるため、以下のようなメリットがあります。

  • 営業停止期間(ダウンタイム)が不要:スムーズに運営主体を買主に切り替えられるため、予約の取りこぼしを防ぐことができます。
  • 買主の安心感:物件の用途変更や新たな消防設備の指摘など、新規申請時のリスクを避けて事業を引き継げます。

※ただし、承継手続きには保健所での事前の「承認申請」が必要です。譲渡の効力発生日(クロージング日)よりも前に手続きを行う必要があるため、スケジュールの調整には注意しましょう。


旅館業譲渡の売却相場・企業価値評価(マルチプル)

「自分の旅館・ゲストハウスはいくらで売れるのか?」
売り手にとって最も気になるのが売却価格(企業価値)の考え方です。

旅館業のM&Aにおいて、売却価格を算定するアプローチはいくつかありますが、最も一般的なのはEBITDA(税引前利益に減価償却費などを足し戻した実質的な営業利益)に基づく「マルチプル法(年買法)」です。

旅館業のマルチプルの目安

旅館業や宿泊事業のM&Aにおけるマルチプルの相場は、一般的に「年間利益の2.0〜3.5倍」となるケースが多いです。

つまり、実質的な年間利益が1,000万円の宿泊施設であれば、およそ2,000万円〜3,500万円程度が事業の売却価格(株式譲渡または事業譲渡対価)の目安となります。
(※不動産自体を所有している場合は、これに不動産の時価純資産が加算されます)

評価を左右するポイント

相場の範囲内で価格を高く評価してもらいやすい施設には、以下のような特徴があります。

  • 安定した稼働率と利益実績:属人的な運営ではなく、仕組み化されて安定した利益が出ている。
  • 建物の状態:大規模な修繕が直近で必要ない。
  • 人材の定着:優秀なスタッフや支配人がそのまま残ってくれる。

旅館業M&A・譲渡手続きの大まかな流れ

旅館事業を第三者に譲渡する場合、以下のようなステップで進むのが一般的です。

  1. 価値算定と専門家への相談:まずは施設がいくらで売れるか、簡易的な価値算定(無料査定)を行います。
  2. 買い手探し(マッチング):M&A仲介会社を通じて、匿名情報(ノンネームシート)で買い手を探します。
  3. トップ面談・基本合意:興味を持った買い手と面談をし、条件が合えば基本合意書を締結します。
  4. 買収監査(デューデリジェンス):買い手側が、財務や法務、建物の状態に問題がないか詳細な調査を行います。
  5. 保健所への承継承認申請:譲渡実行日(引き継ぎ日)の前に、保健所へ事業承継の承認申請を行います。
  6. 最終契約・クロージング:最終的な譲渡契約を結び、決済と同時に事業の引き渡しを行います。

まとめ

旅館業・簡易宿所を譲渡する際のポイントについて解説しました。

  • 旅館業の営業許可は、事前の承認手続きにより「承継」が可能
  • 営業停止期間(ダウンタイム)なく買主に引き継ぐことができる
  • 売却相場(マルチプル)の目安は「年間利益の2.0〜3.5倍」
  • 譲渡のためには、買い手探しから保健所手続きまで専門的なステップが必要

旅館業のM&Aは、後継者不在の解決だけでなく、創業者利益の獲得や別の事業への集中など、前向きな経営戦略として活用する方が増えています。
事業の売却・引き継ぎでお悩みの方は、まずは自社の価値がどれくらいになるのか、一度専門家に相談してみることをお勧めします。

民泊投資や民泊運営を検討している方は、
新規開業だけでなく、民泊M&Aも一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

民泊専門M&A仲介 Tabiji Partnersに相談する

本記事の監修

株式会社Tabiji Partners代表取締役
濱口優太郎

東京都の旅館業民泊・住宅宿泊事業を中心に、東京都の各種民泊事業譲渡プロジェクトのメインアドバイザーとして、民泊・旅館業M&Aを成約に導く。個人での仲介実績は30件超

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