民泊の利益率はどのくらい?計算方法・平均値・利益を上げるための7つの改善策を解説

民泊運営を検討している方にとって、どれくらいの利益が見込めるのかは重要な判断材料です。民泊の利益率は平均15.9%とされていますが、物件によっては赤字のケースもあれば40%以上の高収益を実現する事例もあり、大きな差があります。
本記事では、民泊の利益率の計算方法から平均値の実態、そして利益率を低下させる要因や改善するための具体的な7つの施策まで、民泊運営者に向けて詳しく解説します。
民泊の利益率の目安と実態を理解する

民泊事業を始める前に、利益率の基本的な考え方と実態を把握しましょう。
そもそも利益率とは
利益率とは、売上に対する利益の割合を示す指標です。民泊における利益率は「(売上-費用)÷ 売上 × 100」で計算されます。
例えば、月の売上が30万円、費用が25万円なら、利益は5万円で利益率は約16.7%となります。利益率が高いほど、効率的に収益を上げていることを意味します。
民泊では、売上を最大化するだけでなく、固定費や変動費を適切に管理することが高い利益率につながります。単純な売上の大きさだけでなく、利益率を意識した経営が重要です。
民泊の平均利益率とばらつき
観光庁の調査によれば、民泊の平均利益率は約15.9%とされています。しかし、この数値には大きなばらつきがあり、立地条件や運営方法によって0%(赤字)から40%以上まで幅広く分布しています。
都心部の人気エリアや観光地では高い稼働率が期待でき、利益率30%以上を実現する物件も珍しくありません。
一方、立地が悪い物件や差別化できていない物件では、稼働率が低く固定費を回収できず赤字に陥るケースもあります。平均値はあくまで目安であり、個別の物件ごとに収支を慎重に見積もることが必要です。
民泊の収益と費用の仕組みを把握する

利益率を理解するには、収益構造とコスト構造を詳しく知る必要があります。
売上はどうやって決まるのか
民泊の売上は「宿泊単価 × 宿泊日数 × 稼働率」で決まります。宿泊単価は立地や物件のグレード、季節によって変動し、稼働率は集客力やマーケティング施策に左右されます。
観光シーズンやイベント時には高単価での予約が見込めますが、閑散期には価格を下げなければ稼働率が維持できません。また、住宅宿泊事業法では年間180日以内の営業制限があるため、この制約も売上に大きく影響します。
毎月かかる固定費の種類
固定費とは、稼働の有無にかかわらず毎月発生する費用です。主なものに、物件の家賃または住宅ローン返済、固定資産税、火災保険料、インターネット回線費、水道光熱費の基本料金、管理会社への委託費などがあります。
賃貸物件の場合、家賃が固定費の大部分を占めるため、家賃と想定売上のバランスが利益率を大きく左右します。物件購入の場合でも、ローン返済や固定資産税が重い負担となります。
宿泊ごとにかかる変動費の種類
変動費は、宿泊者が利用するたびに発生する費用です。主なものには、清掃費、アメニティ費(タオルや洗剤などの消耗品)、水道光熱費、OTA手数料、クレジットカード決済手数料などがあります。
宿泊日数が増えるほど負担も大きくなります。変動費を抑えることで、1泊あたりの利益を増やすことができます。
地域によって収益性が変わる理由
民泊の収益性は地域によって大きく異なります。東京・大阪・京都などの大都市や有名観光地では、宿泊需要が安定しており高い稼働率と宿泊単価が期待できます。一方、地方都市や観光資源の少ないエリアでは、需要が限定的で稼働率が低くなりがちです。
また、自治体条例による営業日数制限も地域差があり、住居専用地域では平日営業が禁止されるなど、売上機会が制限される場合もあります。物件選定時には、地域の観光統計や競合物件の稼働状況を必ず調査しましょう。
民泊の利益率が低下する3つの要因

利益率が伸び悩む原因を理解し、対策を講じましょう。
立地条件の悪さと差別化不足による集客難
立地条件が悪いと集客が難しくなります。駅から遠い、観光地へのアクセスが悪い、周辺に飲食店やコンビニが少ないなどの場合、宿泊者が物件を選びにくくなります。
さらに、物件に特徴がなく競合との差別化ができていないと、価格競争に巻き込まれやすく、宿泊単価を下げざるを得ません。
安い価格設定では十分な利益が確保できず、利益率は低下します。立地の不利を補うには、独自のコンセプトや付加価値を提供し、宿泊者に選ばれる魅力を明確に示すことが不可欠です。
稼働率の低下による固定費の圧迫
稼働率が想定を下回ると、固定費を回収できず赤字に転落します。例えば、家賃10万円の物件で月の売上が15万円しかなければ、変動費を差し引くと利益はほとんど残りません。
稼働率が低い原因には、集客施策の不足、競合の増加、季節的な需要減少、物件の魅力不足などがあります。特に閑散期には稼働率が大きく落ち込むため、年間を通じた平均稼働率を冷静に見積もることが重要です。
180日規制による売上機会の制限
住宅宿泊事業法では、年間の営業日数が180日以内に制限されます。自治体によっては「週末のみ営業」「学校周辺は営業禁止」などの追加制限もあり、実質の営業日数はさらに少なくなります。
営業日数が限られる中で固定費を回収する必要があるため、利益率は圧迫されます。旅館業の許可を取得すれば日数制限はなくなりますが、初期投資や取得要件は厳しくなります。
利益率を改善する7つの具体的施策

利益率を高めるための実践的な方法を紹介します。
①ダイナミックプライシングで宿泊単価を最適化する
需要に応じて価格を柔軟に変動させるダイナミックプライシングを導入しましょう。観光シーズンやイベント日には単価を上げ、閑散期には下げることで稼働率と売上を両立できます。価格設定ツールやOTAの自動調整機能を活用すると、競合状況や需要予測に基づき最適価格を自動で設定可能です。
②稼働率を高めるマーケティング施策を実施する
複数のOTAに登録して露出を増やし、魅力的な写真と詳細な説明文で予約率を向上させましょう。早期予約割引や連泊・長期滞在プランで予約を促進します。レビューを蓄積し評価を高めることで、検索上位表示され予約増加につながります。
③清掃・管理コストを最適化する
清掃業者を複数比較し、コストパフォーマンスの良い業者を選びましょう。近隣物件なら自主清掃も検討可能です。アメニティはまとめ買いでコスト削減でき、連泊時の途中清掃省略など清掃頻度の工夫で変動費を抑えられます。
④リピーターを増やしてゲスト満足度を向上させる
リピーターは新規顧客より獲得コストが低く、利益率向上に貢献します。清潔な部屋、迅速な対応、細やかな配慮で満足度を高めましょう。
チェックアウト後にお礼メッセージや次回割引クーポンを送ることでリピート率が上がり、高評価レビューも新規顧客獲得につながります。
⑤物件の差別化とコンセプト設計を強化する
競合との差別化を図るため、明確なコンセプトを設定しましょう。和モダン、アート、ファミリー向け、長期滞在特化などターゲットを絞った物件づくりが有効です。
独自の魅力があれば価格競争を避け、適正価格で予約を獲得できます。写真映えするインテリアや設備も効果的です。
⑥自主管理とコスト削減のバランスを取る
物件が近隣にあれば、自主管理で管理委託費を削減できます。ただし、時間と労力がかかるため、本業との両立を考慮しましょう。遠方や複数物件では管理業者への委託が効率的ですが、委託費が利益を圧迫しないか慎重に判断します。部分委託(清掃のみ)も選択肢です。
⑦季節変動に応じた柔軟な価格設定を行う
閑散期には長期滞在プランや割引キャンペーンで稼働率を確保し、繁忙期には強気の価格設定で売上を最大化します。
地域のイベントカレンダーを把握し需要予測に基づく価格戦略を立てることで、年間を通じた収益の安定化が可能です。価格は週単位で見直し、市場の変化に柔軟に対応しましょう。
高利益率を実現している民泊の共通する取り組み
成功している民泊には、共通する特徴があります。
立地選定と需要調査の徹底
高利益率を実現する物件は、事前に立地調査と需要分析が徹底されています。駅近や観光地へのアクセス、周辺環境の充実など、立地条件の良い物件を選んでいます。
また、競合物件数や平均宿泊単価、稼働率などのデータを収集し、収益性を慎重に見極めてから参入します。感覚ではなくデータに基づく意思決定が重要です。
効率的な運営体制とコスト管理
成功事例では、無駄なコストを徹底的に削減する一方、重要な部分には投資を惜しみません。清掃の効率化、アメニティの一括購入、スマートロック導入による鍵受け渡しの自動化など、運営の効率化を図っています。
また、収支を細かく記録し、利益率を定期的にチェックすることで、問題を早期発見し改善につなげています。
差別化戦略とブランディングの成功
高利益率の民泊は、明確な差別化戦略を持っています。特定のターゲット層にフォーカスし、そのニーズに特化したサービスや設備を提供しています。
例えば、ビジネス客向けならワークスペースとWi-Fi強化、ファミリー向けなら子供用設備の充実など、コンセプトが明確です。ブランドイメージを確立することで、リピーターやファンを獲得し、安定した高稼働率を維持しています。
利益率向上のための運営代行サービス活用
運営代行の活用は、状況によって判断が分かれます。
運営代行サービスのメリットとデメリットを理解する
運営代行を利用すると、清掃やゲスト対応、予約管理、トラブル対応などを任せられるため、時間と労力を大幅に削減できます。専門業者のノウハウにより、稼働率を安定させやすくなる利点もあります。
一方で、代行手数料がかかるため利益率に影響することや、対応品質によってゲスト満足度が下がるリスクがある点には注意が必要です。
代行手数料と自主管理のコストを比較する
代行手数料と自主管理のコストを比較しましょう。自主管理なら委託費は不要ですが、時間的コストや交通費、機会損失を考慮する必要があります。
本業がある場合や遠方物件では、代行の方が効率的なこともあります。一方、近隣物件で時間に余裕があれば、自主管理で利益率を最大化できます。数字で比較し、冷静に判断しましょう。
立地や距離を踏まえて運営方法を判断する
物件が自宅から近ければ自主管理も可能ですが、遠方の物件では運営代行が必要になります。複数物件を運営する場合も、効率の面から代行が有利です。
開業初期は自主管理でノウハウを蓄積し、軌道に乗ったら代行に切り替える段階的な運営も効果的です。立地や規模、自身の状況に応じて最適な方法を選びましょう。
まとめ
民泊の利益率は平均15.9%ですが、立地条件や運営方法により大きく変動します。高い利益率を実現するには、ダイナミックプライシングによる宿泊単価の最適化、稼働率の向上、清掃・管理コストの削減が重要です。
差別化戦略やゲスト満足度の向上もリピーター獲得につながり、長期的な収益安定に貢献します。遠方物件の場合は運営代行の活用も検討し、コストと効率のバランスを取りながら、持続可能な民泊運営を目指しましょう。