民泊を購入・買収する方法|買主様が確認すべきポイントについて専門家の濱口が解説

民泊の事業譲渡を専門に仲介するTabiji Partners代表の濱口です。
「民泊は購入できるの?」
「民泊事業を買って始めることはできる?」
「稼働中の民泊を買い取ることはできる?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
民泊を始める方法としては
- 物件を借りてゼロから始める
- 民泊可能物件を購入する
- 既存の民泊事業を購入する(事業の買収)
といった方法があります。
この記事では、民泊を購入する方法と、既存の民泊事業を買収する際の仕組みについて解説します。
この記事では、私の過去135件の民泊譲渡仲介の経験から、民泊譲渡を購入する方法について整理して解説します。あわせて、住宅宿泊事業、特区民泊、旅館業で最後の工程がどう違うのかもまとめます。
売却・買収を含む総合的なご案内は「民泊の事業譲渡専門仲介のTabiji Partners」をご確認ください。
民泊は購入できる?
結論から言うと、民泊事業は購入できる可能性があります。
民泊の購入には主に2つの方法があります。
- 民泊可能物件を購入する
- 民泊事業を買収して引き継ぐ
それぞれ特徴が異なります。
民泊可能物件を購入する
一つ目の方法は、民泊可能な物件を購入する方法です。
例えば
- 一戸建て
- 投資用マンション
- 宿泊施設
などです。
ただし、この方法にはいくつかハードルがあります。
民泊可能物件は少ない
民泊可能物件は多くありません。
理由としては
- マンション管理規約
- 地域規制
- 物件オーナーの方針
などがあります。
そのため、物件探しに時間がかかるケースも多いです。
許可取得が必要になる
民泊を運営する場合
- 住宅宿泊事業
- 旅館業許可
などの制度があります。
そのため、物件を購入したあとに
許可取得の手続きが必要になる場合があります。
(2026年8月追記)
東京都内は規制の影響で無人の民泊・旅館業の開業がかなり難しくなっています。そのため許可取得のハードルがかなり高いです。
民泊用の物件を購入する前に確認したいポイント
民泊に使う目的で物件を購入する場合、購入後に「営業できなかった」とならないよう、契約前に次の点を確認しておくことが大切です。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 用途地域 | 旅館業(簡易宿所など)は、住居専用地域や工業地域などでは原則として営業できません。住宅宿泊事業は住居専用地域でも制度上は可能ですが、自治体の条例で区域や曜日・期間が制限されている場合があります |
| マンションの管理規約 | 分譲マンションでは、管理規約で民泊が禁止されていることがあります。住宅宿泊事業の届出では、管理規約に民泊を禁止する定めがないことを示す書類の提出が求められます |
| 建物の用途と面積 | 旅館業で営業する場合、宿泊施設として使う部分の床面積が200㎡を超えると、建築基準法の用途変更の確認申請が必要になります |
| 消防設備 | 自動火災報知設備や誘導灯などの設置が求められる場合があります。消防署に事前に相談し、消防法令適合通知書の取得の見込みを確認します |
| 自治体の条例・要綱 | 管理者の駆けつけ時間、近隣への事前周知、営業日の制限など、自治体ごとの上乗せの規制を確認します |
これらは物件ごと・自治体ごとに判断が分かれます。購入の申込みや契約の前に、所管の保健所や消防署、建築士・行政書士などの専門家にご確認ください。
物件購入と事業購入の費用の違い
物件を購入して一から始める場合は、物件の購入費用に加えて、改装費、家具・家電、消防設備、許可・届出の手続き費用、写真撮影やリスティング作成などの立ち上げ費用がかかります。開業までの期間は売上が立たない点も考慮が必要です。
既存の民泊事業を購入する場合は、設備や運営体制が整った状態で引き継ぐため、立ち上げ費用や準備期間を抑えられる可能性があります。その分、譲渡価額には過去の収益実績が反映されます。どちらが適しているかは、予算、希望エリア、運営にかけられる時間によって変わります。
民泊事業を購入する方法(既存事業の買収)
もう一つの方法が
既存の民泊事業を買収する
です。
すでに運営されている民泊事業を、設備や契約ごと引き継いで購入する方法です。
民泊事業の買収で引き継ぐもの
民泊事業の買収では、以下のようなものを含めて事業を引き継ぐケースがあります。
例えば
- 家具・家電
- 運営ノウハウ
- 外注体制
- 予約管理
- 運営マニュアル
- 賃貸借契約
- 許認可
です
民泊を始める3つの方法の比較
民泊を始める方法は、大きく「物件を購入して新規開業する」「物件を借りて新規開業する」「運営中の民泊事業を買収する」の3つに分けられます。それぞれの違いを整理すると、次のとおりです。
| 方法 | 開業までの段取り | 初期費用の主な中身 | 収益の見通し | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 物件を購入して新規開業 | 物件探し、許認可の取得、内装・家具の準備 | 物件代、内装・家具、許認可の費用 | 実績がないため予測で判断 | 民泊が可能な物件が限られる。用途地域や管理規約の確認が必要 |
| 物件を借りて新規開業 | 物件探し、オーナー様の承諾、許認可の取得、内装・家具の準備 | 敷金・礼金、内装・家具、許認可の費用 | 実績がないため予測で判断 | 転貸・民泊利用についてオーナー様の承諾が必要 |
| 運営中の民泊事業を買収 | 賃貸借の引継ぎと許認可の手続きが中心 | 譲渡対価(家具・備品や運営ノウハウを含むことが多い) | 過去の売上・稼働の実績を確認できる | 賃貸借の承継、許認可の取り直し、OTAアカウントの扱いを確認 |
物件の購入や新規開業は自由度が高い一方、収益は開業してみるまでわかりません。既存事業の買収は、価格を支払う代わりに「実績を確認したうえで始められる」点が大きな違いです。
既存の民泊事業を買うメリット
既存の民泊事業を買収する場合、いくつかメリットがあります。
すぐに運営を始められる可能性がある
ゼロから民泊を始める場合
- 物件探し
- 許可申請
- 設備準備
など多くの時間がかかります。
既存事業を引き継ぐことで、
比較的早く運営を開始できます。
また、基本的に既存の旅館業は新規の規制の影響を受けません。すでに許可が出ている旅館業の許認可を承継しても、規制は適用されないことになっています。
収益実績がある
既存民泊の場合
- 稼働率
- 売上実績
- レビュー
などのデータがあります。
そのため、収益のイメージを持ちやすいというメリットがあります。
物件探しの手間を減らせる
民泊最大のハードルは
民泊可能物件を見つけること
です。
既存の民泊事業を買う場合は、
物件を含めて事業を引き継げる可能性があります。
民泊の購入案件はどこで探す?
民泊事業の売買案件は、一般的な不動産ポータルサイトに掲載されることが少なく、次のような経路で探すケースが多くなっています。
- 民泊・宿泊事業に特化した事業譲渡の仲介会社に希望条件を伝えて紹介を受ける
- 事業承継・事業譲渡のマッチングプラットフォームで探す
- 運営者コミュニティやSNSで直接相談する
弊社でも、現在お受けしている民泊・宿泊事業の譲渡希望案件を掲載しております。案件によっては、公開前の段階で買主様へご紹介する場合もございますので、ご希望条件をお知らせいただければ幸いです。
民泊購入を検討する際のポイント
民泊事業を購入する場合、いくつか確認しておきたいポイントがあります。
収益実績
民泊では
- 稼働率
- 売上
- 利益
などの実績を確認することが重要です。
物件契約
賃貸物件の場合
- 転貸
- 事業譲渡
が可能か確認する必要があります。
許可の扱い
民泊の許可は
住宅宿泊事業
旅館業
特区民泊
など複数の制度があります。
住宅宿泊事業と特区民泊は許可の再取得が必要になる可能性があります。
民泊事業の購入では、売上や稼働率だけで判断するのではなく、契約関係や法務・財務面を含めて総合的に確認することが大切です。
民泊ならではの確認項目は民泊買収のデューデリジェンス|買い手様が確認すべきチェックリストに、引継ぎ後の運営体制については民泊買収後の運営引継ぎ(PMI)にまとめております。
デューデリジェンス全般の考え方は、以下の記事も参考にしてください。
関連:デューデリジェンスとは?種類・目的・費用・注意点まで徹底解説|RISK EYES
購入後に必要になる手続き
既存の民泊事業を購入した場合でも、許可・届出は営業形態ごとに扱いが異なります。引渡し日の設定や資金計画にも影響するため、早めに確認しておくことが大切です。
| 営業形態 | 購入後の主な手続き |
|---|---|
| 住宅宿泊事業(民泊新法) | 事業者が変わる場合は、買主様が新たに届出を行い、売主様は廃業の届出を行うのが一般的です。届出が受理されるまでは営業できないため、引渡し日の調整が必要です |
| 旅館業(簡易宿所など) | 事業譲渡の場合、譲渡人と譲受人が都道府県知事等の承認を受けたときは、営業者の地位を承継できる制度があります(2023年12月13日施行)。承認が得られない場合は、新たに許可を取得する必要があります |
| 国家戦略特区民泊 | 認定は事業者ごとのため、買主様側で新たな認定が必要になるのが原則です。大阪市では新規の認定申請の受付が2026年5月29日で終了しています |
このほか、OTAのアカウントやリスティング、清掃会社様・管理会社様との契約、公共料金やインターネット回線の名義なども切り替えが必要です。Airbnbはアカウントを譲渡できないため、買主様のアカウントで新たに掲載する前提で計画します。手続きの詳細は、所管の自治体や行政書士などの専門家にご確認ください。
引き継げるもの・引き継げないものの全体像は、民泊譲渡で引き継げるもの・引き継げないもので詳しく解説しています。
買収価格の目安と投資回収の考え方
運営中の民泊事業の価格は、年間の利益(EBITDA)の何年分にあたるかという「マルチプル」で考えるのが一般的です。当社が成約事例として公開している2024年5月〜2026年7月の115件では、マルチプルの中央値は約2.5倍で、全体の約86%が2.0〜3.5倍の範囲でした。
| 許認可の種類 | 件数 | マルチプルの中央値 |
|---|---|---|
| 旅館業(簡易宿所など) | 53件 | 約3.0倍 |
| 住宅宿泊事業(民泊新法) | 46件 | 約2.5倍 |
| 特区民泊 | 16件 | 約2.5倍 |
たとえばマルチプルが2.5倍の案件であれば、利益が今と同じ水準で続いた場合、単純計算では約2.5年分の利益で買収価格に相当する計算になります。ただし実際には、税金や借入の返済、設備の更新費用、許認可を取り直す間の休業などがかかるため、回収にはこれより長い期間を見込んでおくことが大切です。
実際の成約事例
- 東京都江戸川区・住宅宿泊事業(2026年7月成約):譲渡価額800万〜900万円、EBITDA 400万〜500万円、マルチプル約2倍
- 東京都葛飾区・旅館業(2026年6月成約):譲渡価額400万〜500万円、EBITDA 100万〜200万円、マルチプル約3.5倍
- 大阪府・特区民泊(2026年3月成約):譲渡価額1,000万〜2,000万円、EBITDA 400万〜500万円、マルチプル約3倍
マルチプルが低い案件が必ずしも割安とは限らず、賃貸借契約の残り期間や許認可の種類、収益の安定性を合わせて判断する必要があります。そのほかの事例は民泊の成約実績でご覧いただけます。
買収資金と収支計画の考え方
買収を検討する際は、取得費用だけでなく、取得後にかかる運営費用や、投資をどのくらいの期間で回収できるかまで含めて計画を立てることが大切です。民泊の収益は、稼働率やADR(平均客室単価)、季節変動によって変わります。過去の実績はあくまで参考であり、周辺の競合状況や規制の動向によって、今後の収益は上下し得ます。楽観的な想定だけでなく、稼働が伸び悩んだ場合も見込んだうえで、無理のない資金計画を立てることが望まれます。
また、融資を活用する場合は、事業計画書の準備や金融機関への説明が必要になります。金融機関の判断は個別の事情によるため、確実に融資を受けられるとは限らない点に留意し、自己資金とのバランスを踏まえて計画することが大切です。資金計画については、必要に応じて税理士の先生など専門家に相談するとよいでしょう。
買収後にスムーズに立ち上げるために
買収の成否は、取得後の引継ぎがどれだけ円滑に進むかにも左右されます。運営ノウハウや管理会社様・清掃会社様との関係、予約サイトのアカウントなどをどう引き継ぐかを、契約前から売り手様と丁寧にすり合わせておくことが重要です。引継ぎ期間を設けて、売り手様から運営の要点を教わることができれば、未経験の買い手様でも安心して運営を始めやすくなります。
あわせて、取得する事業がどの予約サイトに依存しているかも確認しておきたい点です。予約が特定のプラットフォームに偏っている場合、その規約変更や手数料の動向が収益に影響します。引継ぎ後の運営を安定させるには、こうした事業構造まで理解しておくことが役立ちます。
自分に合った案件を選ぶために
民泊の買収では、価格や利回りだけでなく、自分の運営体制やリスク許容度に合った案件を選ぶことが大切です。立地、許認可区分、賃貸か自己所有か、引継ぎのしやすさなど、重視する条件を事前に整理しておくと、案件を比較しやすくなります。民泊専門の仲介会社に希望条件を伝えておけば、条件に近い案件の紹介を受けられ、非公開の案件に出会える可能性も広がります。焦らず、納得できる案件をじっくり選ぶ姿勢が、買収後の安定した運営につながります。
購入前に確認したいチェックリスト
運営中の民泊を買収する前に、少なくとも次の点を確認しておくと、引継ぎ後のトラブルを防ぎやすくなります。
- 賃貸借契約:買主様名義での再契約や名義変更、民泊利用(転貸)について、オーナー様の承諾を得られるか
- 許認可:住宅宿泊事業・特区民泊は買主様による届出・認定の取り直しが必要。旅館業は事前の手続きにより承継できる場合がある
- 収益の裏付け:OTAの管理画面、入金明細、経費の内訳で、売上・稼働率・客室単価を確認する
- 予約とアカウント:Airbnbはアカウントを譲渡できないため、レビューは引き継げない。Booking.comはリスティングの譲渡が可能。予約済みゲストの扱いも決めておく
- 外注先:清掃会社様・運営代行会社様との契約を続けられるか
- 設備・備品:家具家電、リネン、スマートロックなど、譲渡対象に含まれる範囲
- 消防・用途地域:消防設備の設置状況や、用途地域・管理規約による制限
- 費用の精算:許認可を取り直す間の家賃負担や、引渡し日をまたぐ売上・経費の精算方法
手続き全体の流れは民泊譲渡の流れで解説しています。現在募集中の案件は譲渡希望情報の一覧からご確認いただけます。許認可や契約の扱いは、案件ごとに所管行政や専門家へのご確認をおすすめします。
よくあるご質問
Q. 個人(サラリーマン)でも買収できますか。 A. 個人の買い手様による取得も増えています。運営の実務は代行の活用も含めて検討するとよいでしょう。
Q. 未経験でも運営を引き継げますか。 A. 運営体制や管理会社様を引き継げる案件であれば、未経験の方でも始めやすい場合がございます。
民泊は「購入する」という選択肢もある
民泊を始めるというと、
物件を探してゼロから始める
イメージを持つ方が多いですが、
最近では
既存の民泊事業を購入する
という方法もあります。
特に
- 民泊可能物件が見つからない
- 早く民泊を始めたい
という方にとって、既存事業の買収は一つの選択肢になる可能性があります。
まとめ
本記事は、民泊事業の仲介実績135件を持つ専門家・Tabiji Partners代表の濱口が、民泊の購入・買収の方法と買主様が確認すべきポイントを実務目線で解説したものです。
民泊を始める方法には
- 民泊可能物件を購入する
- 賃貸物件で始める
- 民泊事業を購入する(事業の買収)
などの方法があります。
民泊可能物件は数が限られているため、
場合によっては既存事業を引き継ぐ方法も検討する価値があります。
民泊を始めたいと考えている方は、
複数の方法を比較しながら検討することが重要です。
民泊の事業譲渡を専門に仲介する株式会社Tabiji Partnersでは、無料相談を行っております。
お気軽にご相談ください。

本記事の監修
株式会社Tabiji Partners代表取締役
濱口優太郎
東京都の旅館業民泊・住宅宿泊事業を中心に、東京都の各種民泊事業譲渡プロジェクトのメインアドバイザーとして、民泊・旅館業の事業譲渡を成約に導く。個人での仲介実績は30件超
買い手様として民泊事業の取得をご検討の方は、民泊の事業譲渡の仲介サービスの総合案内もあわせてご覧ください。
民泊・宿泊施設の譲渡をご検討ですか?
Tabiji Partnersは日本唯一の民泊M&A専門仲介会社です。Airbnbスーパーホスト経験のあるアドバイザーが、平均3ヶ月での成約を実現。完全成功報酬制、ご相談は無料です。