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民泊譲渡で引き継げるもの・引き継げないもの|Airbnbアカウントや許認可はどうなる?

民泊譲渡で引き継げるもの・引き継げないもの|Airbnbアカウントや許認可はどうなる?

民泊の譲渡をご検討中の売り手様・買い手様から特に多くいただくのが、「何がそのまま引き継げて、何が引き継げないのか」というご質問です。

ここを曖昧にしたまま交渉を進めると、クロージング直前になって「承諾が得られない」「予約が移せない」「許可を取り直す必要があった」といった認識のずれが起きやすくなります。特にOTAアカウントと許可・届出の扱いは誤解が多いポイントです。

この記事では、民泊譲渡で引き継ぎやすいもの・引き継げないもの・個別確認が必要なものを整理し、住宅宿泊事業・特区民泊・旅館業での違い、確認の順番までを解説します。

この記事の更新情報(2026年9月30日)

  • 旅館業法の事業譲渡による地位承継(2023年12月13日施行)について、都道府県知事等の承認が必要である点を追記しました
  • 大阪市の国家戦略特区民泊について、新規認定申請の受付が2026年5月29日で終了した点を追記しました
  • OTA・サイトコントローラー、予約済みゲスト、未収金・未払金など、確認項目を追加しました

民泊譲渡の引き継ぎ対象は「3つの区分」で整理する

民泊の譲渡対象は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

区分主な項目ポイント
引き継ぎやすいもの家具・家電・備品、リネン、運営マニュアル、ゲスト対応テンプレート、清掃手順、写真素材譲渡対象資産の一覧(リスト)を作り、対象外のものも明記する
相手方の承諾・再契約が必要なもの賃貸借契約(転貸承諾)、管理会社様・清掃会社様・リネン会社様との契約、スマートロック・Wi-Fi等のサービス契約、Booking.comなどのリスティング当事者だけでは決められない。承諾の見込みを早めに確認する
そのままは引き継げないものAirbnbのアカウント・レビュー、住宅宿泊事業の届出、特区民泊の認定(原則)買い手様側での新規手続き・新規掲載が前提になる

旅館業許可は、2023年12月の法改正で事業譲渡による承継の制度ができた一方、都道府県知事等の承認が必要です。詳しくは後述します。

引き継ぎやすいもの

家具・家電・備品・リネン

ベッド、ソファ、家電、調理器具、アメニティ在庫、リネンなどは、譲渡対象として引き継がれることが多い項目です。一式が揃っていると、買い手様は居抜きに近い形で運営を始めやすくなります。

ただし、リース品やレンタル品(Wi-Fiルーター、スマートロック、リネンのレンタル契約など)は売り手様の所有物ではない場合があります。所有物かどうかを一覧で整理し、故障・不具合の有無もあわせて伝えておくと、引渡し後のトラブルを減らせます。

運営ノウハウ・マニュアル類

ゲスト対応のメッセージテンプレート、ハウスマニュアル、清掃チェックリスト、近隣への配慮事項、トラブル時の対応履歴などは、実務上の価値が高い資産です。整理されている案件は、買い手様から見ても運営の再現性を判断しやすくなります。

物件写真やリスティングの説明文も、撮影者・作成者との権利関係に問題がなければ引き継げる場合があります。外部のカメラマンに依頼した写真は、利用範囲を確認しておくと安心です。

相手方の承諾・再契約が必要なもの

賃貸借契約(転貸型の場合)

賃貸物件で運営している民泊では、賃貸借契約の扱いが最も重要な論点です。契約の名義変更(地位の移転)や新規契約には、通常オーナー様・管理会社様の承諾が必要になり、売り手様と買い手様の合意だけでは決められません。

契約書に民泊(住宅宿泊事業・旅館業)としての利用や転貸を認める条項があるか、名義変更の可否、敷金・保証金の扱い、更新時期などを早い段階で確認しておくことが大切です。承諾の見込みが立たない段階で条件交渉を進めると、後で白紙に戻る可能性があります。

管理会社様・清掃会社様などの外注先

運営代行会社様、清掃会社様、リネン会社様など、すでに機能している外注体制は買い手様にとって大きな価値があります。一方で、契約の相手方が変わる以上、同じ条件で継続できるかは各社様のご判断によります。料金・対応範囲・解約条件を確認し、継続の意向を事前に伺っておくことをおすすめします。

OTAのリスティング・サイトコントローラー

Airbnbは、アカウントを第三者に譲渡できないため、レビューやスーパーホストの評価は引き継げません。買い手様のアカウントで新たにリスティングを作成する前提で、売上計画を立てる必要があります。

Booking.comはリスティングの譲渡手続きがあり、レビューを引き継げます。手続きの流れや所要期間を事前に確認し、引渡し日から逆算して準備することが大切です。そのほかのOTAやサイトコントローラー、予約管理システムは、サービスごとに規約や手続きが異なるため、個別に確認が必要です。

許可・届出の扱いは営業形態で異なる

営業形態事業者が変わる場合の扱い確認したいこと
住宅宿泊事業(民泊新法)事業者の地位を承継する規定はなく、買い手様が新たに届出を行う扱いが一般的です(前の事業者の廃業届も必要)自治体の条例による区域・期間の制限、年間180日の上限の数え方、消防関係の書類
国家戦略特区民泊(特区民泊)認定は事業者ごとのため、買い手様側で新たな認定が必要になるのが原則です新規認定の受付状況(大阪市は2026年5月29日で受付終了)
旅館業(簡易宿所・旅館ホテル営業)事業譲渡の場合、譲渡人・譲受人が都道府県知事等の承認を受けたときは、営業者の地位を承継できる制度があります承認申請の時期と必要書類、施設の構造設備の変更の有無、消防・建築の状況

住宅宿泊事業(民泊新法)

住宅宿泊事業では、個人から法人への変更、譲渡、相続、法人の合併などで事業者が変わる場合、新たな届出が必要と案内している自治体があります(例:神戸市)。同市の案内では、前の届出者が人を宿泊させた日数は引き継がれるとされており、年間180日の上限の計算に影響する点に注意が必要です。

手続きの細部は自治体ごとに異なるため、届出先の自治体にご確認ください。届出の準備期間中は営業できない期間が生じる可能性があるため、引渡し日の設定にも影響します。

特区民泊

特区民泊の認定は事業者に対して行われるため、事業者が変わる場合は買い手様側での認定が必要になるのが原則です。大阪市では、新規の認定申請と居室の追加等の変更申請の受付が2026年5月29日で終了しました。同日以前に認定を受けた施設は従来どおり営業できるとされていますが、事業者が変わる場合の扱いは、所管の自治体への確認が欠かせません。

旅館業(簡易宿所など)

2023年12月13日施行の改正旅館業法により、事業譲渡の場合でも、譲渡人と譲受人が都道府県知事等(保健所設置市・特別区を含む)の承認を受けたときは、譲受人が営業者の地位を承継できるようになりました。厚生労働省は、事業譲渡を行おうとする場合、あらかじめ都道府県知事等に相談するよう案内しています。

承認が得られるかどうか、どの時点で何を提出するかは自治体によって運用が異なる可能性があります。承認を得ないまま引渡しを行うと、新規許可の取得が必要になる場合もあるため、スケジュールには余裕を持たせることをおすすめします。

見落としやすい引き継ぎ項目

  • 予約済みゲストの扱い:引渡し日以降の予約を誰が受け入れるか、売上の帰属、キャンセルが生じた場合の負担を事前に決めておく
  • 未収金・未払金:OTAからの入金のタイミング、清掃費・光熱費・賃料の日割り精算の方法を決めておく
  • 鍵・スマートロック:物理鍵の本数、暗証番号やアカウントの切り替え方法を確認する
  • 消防・保健所関係の書類:消防法令適合通知書、点検記録、行政への提出書類の控えを引き継ぐ
  • 近隣対応・苦情の履歴:過去のクレームや近隣とのお約束事項があれば共有する
  • 公共料金・インターネット回線:名義変更か解約・新規契約かを決め、切り替え日を調整する

確認の進め方:最初に「承諾」と「許可・届出」を押さえる

引き継ぎ項目は多岐にわたりますが、案件の成否を左右しやすいのは、オーナー様の承諾と許可・届出の扱いです。この2点を先に確認し、そのうえで外注先・OTA・備品などの条件を詰めていくと、手戻りを減らせます。

  1. 賃貸借契約の内容確認と、オーナー様・管理会社様への承諾の打診
  2. 営業形態(住宅宿泊事業・特区民泊・旅館業)の確認と、所管行政への事前相談
  3. 譲渡対象資産・対象外資産の一覧化
  4. 外注先・OTA・各種サービスの継続可否の確認
  5. 予約・精算・引渡し日の取り決めを事業譲渡契約書に反映

全体の流れは民泊譲渡の流れを解説した記事、価格の考え方は民泊譲渡の相場の記事もあわせてご覧ください。契約・許認可の最終的な判断は、弁護士・行政書士などの専門家や所管行政にご確認ください。

まとめ|「何を渡せるか」を最初に整理することが円滑な譲渡につながる

民泊譲渡では、家具・備品や運営ノウハウのように引き継ぎやすいものがある一方、賃貸借契約や外注先のように相手方の承諾が必要なもの、Airbnbのアカウントや住宅宿泊事業の届出のようにそのままは引き継げないものがあります。

募集を始める前にこの区分を整理し、買い手様にも最初から共有しておくことで、条件の後出しによる交渉の停滞を防ぎやすくなります。

出典(2026年9月30日確認)

民泊投資や民泊運営を検討している方は、新規開業だけでなく、民泊M&Aも一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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本記事の監修

株式会社Tabiji Partners代表取締役
濱口優太郎

東京都の旅館業民泊・住宅宿泊事業を中心に、東京都の各種民泊事業譲渡プロジェクトのメインアドバイザーとして、民泊・旅館業M&Aを成約に導く。個人での仲介実績は30件超

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