民泊にかかる税金一覧|所得税・消費税・宿泊税・固定資産税の基礎と注意点

民泊の運営では、利益にかかる所得税や住民税のほかにも、売上の規模に応じた消費税、自治体によっては宿泊税、物件を所有している場合の固定資産税など、さまざまな税金が関係します。「どの税金が、いつ、誰にかかるのか」を把握していないと、申告漏れや想定外の納税につながるおそれがあります。
本記事では、民泊にかかる主な税金の種類と基本的な考え方を、民泊運営者でもあるTabiji Partners代表の濱口が整理します。税金の取扱いは個々の状況によって異なり、制度の改正も行われます。実際の申告や判断にあたっては、税務署や自治体、税理士の先生方にご確認ください。
民泊にかかる主な税金の一覧
民泊の運営で関係する可能性がある主な税金は、次のとおりです。
| 税金 | かかる対象 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 所得税・復興特別所得税 | 民泊で得た所得(売上から経費を引いた額) | 確定申告が必要。所得区分によって扱いが変わる |
| 住民税 | 前年の所得 | 所得税の申告が不要な場合でも申告が必要なことがある |
| 個人事業税 | 一定の事業の所得 | 対象となるかは都道府県が判断する |
| 消費税 | 宿泊料などの売上 | 売上規模などの条件で納税義務が生じる |
| 宿泊税 | 宿泊者(運営者が徴収して納める) | 導入している自治体のみ。民泊が対象かは自治体による |
| 入湯税 | 温泉施設の利用者 | 温泉を利用する施設の場合 |
| 固定資産税・都市計画税 | 物件を所有している場合の土地・建物 | 住宅用地の特例の扱いに注意 |
法人で民泊を運営している場合は、所得税の代わりに法人税や法人住民税、法人事業税などがかかります。
所得税・住民税
民泊の所得区分
国税庁は2018年6月に、住宅宿泊事業による所得は原則として「雑所得」に区分されるとの考え方を示しています。一方で、民泊を事業として営んでいると認められる場合は「事業所得」に該当するとしています。不動産の貸付けとは異なり、宿泊サービスの提供を伴うため、一般的な家賃収入と同じ「不動産所得」とはならない点に注意が必要です。
所得区分によって、青色申告特別控除の可否や、損失が出た場合に他の所得と通算できるかどうかが変わります。事業所得として扱われるかどうかは、規模や継続性、帳簿の整備状況などから個別に判断されるため、税理士の先生方に相談のうえ判断することをおすすめします。
会社員が副業で民泊を行う場合
給与所得者の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要になります。20万円以下で所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあるため、お住まいの自治体に確認しましょう。確定申告の手順や必要書類は民泊の確定申告ガイドで、副業として始める際の注意点は民泊は副業でできる?で解説しています。
経費にできる主な費用
民泊の所得は、売上から必要経費を差し引いて計算します。予約サイトの手数料、清掃費、リネン代、消耗品費、水道光熱費、通信費、運営代行の委託費、賃貸物件の場合の家賃、家具・家電や内装工事の減価償却費などが代表的です。自宅の一部を使う家主居住型の場合は、民泊に使った割合で按分する必要があります。
個人事業税
個人事業税は、法律で定められた業種に該当する事業の所得にかかる都道府県の税金です。民泊が課税の対象となるか、どの業種として扱われるかは、事業の実態に応じて都道府県が判断します。事業所得として申告している場合は、課税の対象となる可能性があるため、都道府県税事務所に確認しておくと安心です。
消費税
民泊の宿泊料は、住宅の家賃(非課税)とは異なり、消費税の課税対象となる取引です。ただし、すべての運営者が消費税を納めるわけではありません。原則として、基準期間(個人の場合は前々年)の課税売上高が1,000万円を超える場合などに、課税事業者として消費税の納税義務が生じます。
また、インボイス(適格請求書)の発行事業者として登録している場合は、売上の規模にかかわらず課税事業者となります。法人のお客様の出張利用が多い物件などでは、登録の要否を検討する場面もあります。登録による納税額への影響を事前に試算しておきましょう。
宿泊税
宿泊税は、宿泊者に課される地方税で、施設の運営者が「特別徴収義務者」として宿泊者から預かり、自治体に納める仕組みです。導入している自治体や税額、民泊が対象に含まれるかどうかは自治体ごとに異なります。主な自治体の状況は次のとおりです(2026年10月時点で確認できた内容)。
| 自治体 | 民泊の扱い | 主な内容 |
|---|---|---|
| 東京都 | 2027年4月1日から対象 | 現在は旅館・ホテルのみが対象。2027年4月1日から簡易宿所・民泊も対象となり、税額は宿泊料金の3%(1人1泊1万3,000円未満は免税)に変わる |
| 大阪府 | 対象 | 2025年9月1日から、1人1泊5,000円以上の宿泊に対し、料金に応じて200円〜500円 |
| 京都市 | 対象 | 2026年3月1日から改正後の税額を適用。1人1泊の料金に応じて200円(6,000円未満)、400円(6,000円以上2万円未満)、1,000円(2万円以上5万円未満)、4,000円(5万円以上10万円未満)、1万円(10万円以上) |
東京都の改正では、民泊の運営者も新たに特別徴収義務者としての登録が必要になります。宿泊税は宿泊者から預かる税金のため、料金設定に含めるのか、別途徴収するのかを決め、予約サイトでの表示方法も整理しておく必要があります。最新の税額や手続きは、各自治体の公式情報で確認してください。
固定資産税・都市計画税
物件を所有して民泊を運営している場合は、土地・建物に固定資産税と都市計画税がかかります。注意したいのが、住宅が建っている土地の税額を軽減する「住宅用地の特例」です。民泊専用として使っている建物は、自治体の判断によって住宅とみなされず、特例の対象外となる可能性があります。その場合、土地の税額が大きく増えることもあるため、民泊を始める前に市区町村の資産税担当の窓口へ確認しておきましょう。
賃貸物件で民泊を運営している場合、固定資産税を直接負担するのはオーナー様ですが、用途の変更によってオーナー様の税負担が変わる可能性がある点は、転貸の承諾を得る際の説明事項として意識しておくとよいでしょう。
民泊を売却するときの税金は別に考える
ここまでは運営中にかかる税金ですが、民泊を事業ごと売却する場合には、譲渡所得や消費税、のれんの扱いなど、別の論点が生じます。個人で事業譲渡する場合と、法人の株式を譲渡する場合でも課税の仕組みが異なります。売却を検討している方は、民泊売却にかかる税金もあわせてご覧ください。
民泊の税金に関するよくある質問
赤字の場合も申告は必要ですか?
民泊の所得が赤字であれば、所得税の納税額は生じないことが一般的です。ただし、雑所得の赤字は給与所得など他の所得と通算できません。事業所得として認められる場合は損益通算ができる可能性があるため、所得区分の判断が重要になります。申告の要否は、他の所得の状況とあわせて税務署や税理士の先生方にご確認ください。
予約サイトが宿泊税を徴収してくれることはありますか?
予約サイトによっては、宿泊税を予約時に宿泊者から徴収し、運営者に送金する仕組みを設けている場合があります。ただし、自治体への申告・納入の義務を負うのは、原則として特別徴収義務者である運営者です。予約サイトの設定と、自治体への申告内容が一致しているかを定期的に確認しましょう。
まとめ
民泊の運営には、所得税・住民税、個人事業税、消費税、宿泊税、固定資産税など、複数の税金が関係します。特に宿泊税は、東京都で2027年4月から民泊も対象となるなど、制度の見直しが続いています。
税金の扱いは、運営の形態や規模、物件の所有状況によって異なります。売上や経費の記録を日頃から整えておくことは、正しい申告のためだけでなく、将来の融資や売却の場面でも役立ちます。具体的な判断は、税務署・自治体、税理士の先生方にご確認ください。
参照した一次情報
国税庁:給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁:納税義務の免除
東京都:宿泊税に係る総務大臣の同意及び施行日について
東京都主税局:宿泊税
大阪府:大阪府の宿泊税
京都市:宿泊税について
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