Booking.comのリスティングを譲渡する際の手順とは?民泊事業売買で押さえたいポイント

民泊事業を売却・譲渡する際には、物件や家具・家電だけでなく、Booking.comをはじめとする予約サイトの取り扱いについても整理する必要があります。
特にBooking.comでは、掲載中の施設情報、将来予約、口コミ、宿泊料金の入金先など、さまざまな情報が登録されています。
そのため、民泊事業の譲渡時には、単にログイン情報を買い手様へ渡すのではなく、Booking.com上で必要となる手続きや、売り手様・買い手様間の精算方法を事前に確認しておくことが重要です。
今回は、Booking.comのリスティングを譲渡する際に確認しておきたいポイントを解説します。
解説動画
Booking.comのリスティング譲渡とは
民泊事業の売買では、売り手様が運営していたBooking.comの掲載情報を、事業を引き継ぐ買い手様が継続して利用したいというケースがあります。
ただし、事業譲渡を行ったからといって、Booking.comのアカウントやリスティング上の権利・契約関係が当然に買い手様へ移転するとは限りません。
Booking.com上では、施設の運営主体、契約者情報、振込先、連絡先などが登録されているため、運営者の変更に伴って所定の確認や変更手続きが必要になる可能性があります。
具体的な手続きは、施設の登録状況や契約名義、運営形態などによって異なる可能性があるため、Booking.comの管理画面や担当窓口を通じて確認することが重要です。
譲渡前に確認しておきたい項目
1.Booking.com上の契約名義
まず確認したいのが、Booking.comとの契約主体です。個人名義で登録されているのか、法人名義で登録されているのかによって、必要となる手続きが異なる可能性があります。
法人そのものの株式を譲渡する場合と、民泊事業のみを事業譲渡する場合でも、扱いが異なることが考えられます。そのため、事業売買の初期段階で、現在の契約名義や登録情報を確認しておく必要があります。
2.施設情報と営業許可の名義
Booking.com上の施設名称や住所だけでなく、住宅宿泊事業の届出、旅館業の許可、賃貸借契約などの名義も確認します。
Booking.com上の運営者情報を変更できたとしても、営業に必要な許認可や物件契約が買い手様へ適切に引き継がれていなければ、譲渡後の運営を継続できない可能性があります。Booking.comの手続きと、行政上・契約上の手続きは分けて整理することが重要です。
3.将来予約の取り扱い
民泊事業の譲渡時点で、譲渡日以降の宿泊予約が入っていることがあります。この場合、次のような点を売り手様・買い手様間で確認しておく必要があります。
- 予約を買い手様が引き継いで対応するのか
- ゲストへの案内を誰が行うのか
- 宿泊料金を売り手様と買い手様のどちらが受け取るのか
- キャンセルや返金が発生した場合に誰が負担するのか
- 譲渡日をまたぐ予約をどのように取り扱うのか
将来予約の処理が曖昧なまま譲渡すると、ゲスト対応や売上精算をめぐってトラブルになる可能性があります。
4.売上の入金先
Booking.com上で振込先の変更が完了した時期と、実際に新しい口座へ入金される時期が一致するとは限りません。譲渡後の宿泊に関する売上が、一時的に売り手様の口座へ入金される可能性も考えられます。
そのため、売り手様口座へ入金された場合の送金期限や振込手数料、精算資料の共有方法について、事業譲渡契約書などで定めておくことが望ましいです。
5.未払い金や請求書
Booking.comでは、施設側が支払う手数料や未払いの請求が残っている可能性があります。譲渡前に発生した手数料を売り手様が負担するのか、譲渡後に確定したものを買い手様が負担するのかについても、事前に整理しておく必要があります。
未払い金が残っている場合、管理画面の利用や施設運営に影響が生じる可能性もあるため、譲渡前に請求状況を確認しておくことが重要です。
リスティング譲渡の一般的な流れ
Booking.comの具体的な手続きは個別の登録状況によって異なる可能性がありますが、民泊事業の譲渡では、一般的に次のような流れで準備を進めます。
ステップ1.現在の登録状況を確認する
Booking.comの管理画面で、以下の項目を確認します。
- 契約者名
- 施設名
- 住所
- 営業許可に関する情報
- 振込先口座
- 登録メールアドレス
- 電話番号
- 管理権限を持つ利用者
- 将来の予約状況
- 請求書や未払い金の状況
ステップ2.Booking.comへ運営者変更について確認する
事業譲渡によって運営者や契約主体が変更される場合は、Booking.comの担当窓口へ連絡し、必要な手続きを確認します。施設やアカウントの状況によっては、本人確認書類、法人情報、営業許可に関する書類、銀行口座情報などの提出を求められる可能性があります。
新規リスティングの作成が必要になるケースや、既存リスティングの情報変更で対応できるケースなど、複数の可能性があるため、早めに確認することが重要です。
ステップ3.売り手様と買い手様で引継条件を決める
Booking.com上の手続きと並行して、売り手様・買い手様間で次の事項を決定します。
- 運営を切り替える日
- 将来予約の対応者
- 売上の帰属
- キャンセル料の帰属
- 返金やチャージバックの負担者
- ゲストへの連絡方法
- 入金先変更までの精算方法
- 口コミや掲載情報の取り扱い
ステップ4.必要書類と登録情報を変更する
Booking.comから案内された方法に従って、契約者情報、連絡先、振込先などを変更します。登録情報の変更後も、すぐにすべての手続きが完了するとは限りません。本人確認や口座確認などに一定の期間を要する可能性があるため、譲渡日より前に余裕をもって進めることが望ましいです。
ステップ5.変更後の状態を確認する
手続き後は、次の項目が正しく変更されているか確認します。
- 買い手様が管理画面へアクセスできるか
- 予約情報を確認できるか
- ゲストからのメッセージを受信できるか
- 振込先が正しく登録されているか
- 施設情報や料金設定に誤りがないか
- 売り手様側のアクセス権限が適切に整理されているか
特に最初の売上入金については、想定した口座へ入金されているか確認することが重要です。
口コミは引き継げるのか
民泊事業の買い手様にとって、既存の口コミや評価は、事業価値を判断するうえで重要な要素です。一方で、口コミは施設の名称や所在地だけでなく、これまでの運営実績に対して投稿されたものでもあります。
運営者の変更後も既存の口コミがそのまま表示されるかどうかは、Booking.com側の判断や手続き方法によって異なる可能性があります。そのため、事業の売買価格を決める際には、口コミが確実に引き継がれることを前提にせず、引継ぎが認められない場合も想定して条件を検討することが望ましいです。
ログイン情報を渡すだけでは不十分
売り手様が買い手様へメールアドレスやパスワードを渡すだけでは、正式な契約者情報や振込先、本人確認情報が売り手様のまま残る可能性があります。また、売り手様がほかの施設も同じアカウントで管理している場合、アカウント全体を買い手様へ渡すことは難しいと考えられます。
セキュリティ上の問題もあるため、単純なログイン情報の共有ではなく、Booking.comの案内に沿って適切に権限や登録情報を変更することが重要です。
事業譲渡契約書に定めておきたい事項
Booking.comのリスティングを含む民泊事業を譲渡する場合、事業譲渡契約書には少なくとも次の事項を定めておくことが望ましいです。
- Booking.com上の手続きに相互協力すること
- リスティングの引継ぎが認められなかった場合の対応
- 口コミや評価が引き継がれない場合の取り扱い
- 譲渡日前後の予約売上の帰属
- 売り手様口座へ入金された売上の精算期限
- キャンセルや返金が発生した場合の負担
- Booking.comへの未払い金の負担
- ゲストへの告知や対応の担当者
- 個人情報の取り扱い
- アカウントや管理権限を変更する期限
Booking.com側の判断によってリスティングの引継ぎが認められない可能性も考慮し、引継ぎを保証するような断定的な条項は避ける必要があります。
たとえば、「売り手様はリスティングを買い手様へ移転する」と断定するのではなく、「売り手様および買い手様は、リスティングの運営主体または登録情報の変更に必要な手続きへ相互に協力する」といった内容にすることが考えられます。
譲渡手続きは早めの準備が重要
Booking.com上の確認や登録変更には、書類の提出や審査が必要になる可能性があります。譲渡日の直前になって手続きを開始すると、買い手様が予約を確認できない、売上の入金先を変更できない、ゲスト対応が滞るといった問題が起こる可能性があります。
事業譲渡の基本条件が固まった段階でBooking.comへ確認し、譲渡日までのスケジュールを逆算して準備を進めることが重要です。
まとめ
Booking.comのリスティングを含む民泊事業を譲渡する際には、契約名義、施設情報、将来予約、売上の入金先、口コミ、未払い金などを整理する必要があります。Booking.com上の手続きは、施設やアカウントの登録状況によって異なる可能性があります。
そのため、「リスティングをそのまま譲渡できる」と考えるのではなく、事前にBooking.comへ確認し、売り手様・買い手様の双方で必要な手続きへ協力することが大切です。また、リスティングの引継ぎが認められなかった場合や、変更手続きに時間がかかった場合も想定し、事業譲渡契約書で対応方法を定めておくことが望ましいです。
株式会社Tabiji Partnersでは、民泊事業の売却・買収に関するご相談を承っております。Booking.comやAirbnbなどの予約サイトに関する引継ぎ、将来予約の整理、売上の精算方法、事業譲渡契約書の調整などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。あわせて民泊のOTAアカウント・レビューの引継ぎもご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、Booking.comの最新の手続きや個別案件への適用を保証するものではありません。具体的な手続きについては、Booking.comの管理画面または担当窓口へご確認ください。契約、許認可、税務などについては、必要に応じて弁護士、行政書士、税理士などの専門家の先生へご相談ください。
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