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京都の旅館・ホテル、経営改善を続けるか承継・売却するか|判断の視点と京都特有の確認事項

京都の旅館・ホテル、経営改善を続けるか承継・売却するか|判断の視点と京都特有の確認事項

京都で旅館・ホテルを営む経営者様のなかには、料金の見直しや改装、人員の確保といった経営改善を続けるか、後継者への承継や第三者への売却に進むかで迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事は、その判断に必要な視点を整理するための記事です。京都市の公的資料で確認できた制度(2026年9月29日確認)をもとに、経営を続ける場合の負担と、承継・売却を考え始める目安をまとめます。売却・事業承継の具体的な進め方は、京都の旅館・ホテルの売却・事業承継の記事で解説しています。

経営を続ける場合と、承継・売却する場合で何が変わるか

どちらが適しているかは、施設の状態、経営者様のご意向、後継者の有無によって異なります。まずは、それぞれの場合に誰が何を負担するのかを並べてみると、検討しやすくなります。

観点経営を続ける場合承継・売却する場合
設備投資・修繕経営者様が資金を手当てし、実施を判断する買主様・後継者が自らの計画で判断することが多い
人員体制駐在規定を満たす人員を継続して確保する引継ぎの可否や、買主様側の体制で対応できるかを確認する
許可・税の手続き現行の許可のまま、宿泊税の徴収・申告を続けるスキームに応じて、許可の承継・新規取得等の手続きが必要になる
借入・経営者保証現経営者様の保証が続く返済・保証の取扱いを金融機関と協議する
時間軸改善の成果を見極める期間が必要準備から成約まで一定の期間がかかる

京都で経営を続ける場合に確認したい負担

宿泊税の改定後の料金設計と徴収事務

京都市の宿泊税は、2026年3月1日から税率が見直されました(京都市「令和8年3月1日からの宿泊税の見直しが正式決定」2025年10月3日更新)。1人1泊の宿泊料金(素泊まり料金)が6,000円未満は200円、6,000円以上20,000円未満は400円、20,000円以上50,000円未満は1,000円、50,000円以上100,000円未満は4,000円、100,000円以上は10,000円です。

区分の境目では税額が大きく変わります。たとえば素泊まり料金が49,000円の場合は1,000円、50,000円の場合は4,000円です。プランごとの料金と税額の関係、表示の仕方、徴収・申告の事務を、改定後の実績とあわせて見直しておくことが、経営を続ける場合にも、将来売却する場合にも役立ちます。

駐在規定を満たす人員体制

京都市は条例で、旅館業施設の使用人等の駐在を定めています。施設外玄関帳場を活用する小規模施設や、玄関帳場の特例を受ける京町家では、おおむね800m以内(10分程度で駆け付けられる範囲)での駐在が求められる旨が案内されています(京都市「宿泊施設に係る不動産取引における留意事項について」2020年4月1日更新)。

人員の確保が難しくなっている場合、改善策として省人化を進めても、この駐在の要件は残ります。人員の見通しは、経営を続けるかどうかを判断する材料の一つになります。

建物の維持と、景観・京町家のルール

改装や外観の変更を行う場合は、2007年9月1日から実施されている新景観政策(建物の高さ・デザイン・屋外広告物の規制等)への適合を確認する必要があります(京都市「新景観政策」2026年9月11日更新)。町家の場合、京町家条例により、個別指定・地区指定を受けた京町家は解体着手の1年前までに届出が必要で、それ以外の京町家も解体前の届出が求められます(京都市「京町家を未来へ」解体工事業者の方へ)。

建物の維持にかかる費用と手続きの見通しを持っておくと、改修を続けるか、活用意向のある方へ引き継ぐかを比べやすくなります。

承継・売却を考え始める目安

次のような状況が重なっている場合は、経営改善と並行して、承継・売却の選択肢も整理しておくことをおすすめいたします。

  • 後継者の候補が決まっていない、または候補者の意向が確認できていない
  • 数年以内に大規模な修繕や設備更新が必要になる見込みがある
  • 駐在規定を満たす人員の確保に不安がある
  • 借入の返済や経営者保証を、どなたが引き継ぐかが決まっていない
  • 料金の見直しや販売チャネルの改善を続けても、利益の水準が変わりにくい

早めに選択肢を整理しておくと、施設の状態が良いうちに検討を進められる可能性があります。

判断材料として準備しておきたい資料

  • 直近3期程度の決算書と、月次の売上・稼働率・客室単価
  • 宿泊税改定の前後での料金・実績の比較
  • 旅館業の許可証、施設の図面、玄関帳場・駐在体制の資料
  • 簡易宿所の場合は、京都市の条例適用状況の照会に対する回答書(照会制度:京都市、2022年7月1日更新)
  • 土地・建物の登記事項、または賃貸借契約書
  • 修繕履歴と今後の修繕予定
  • 従業員の雇用条件と、主な取引先との契約

相談先について

地域の公的な相談窓口として、国が設置し独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「事業承継・引継ぎ支援センター」が全国47都道府県にあり、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の相談を無料・秘密厳守で受け付けています(中小機構「事業承継・引継ぎポータル」)。

許可の承継や新規取得の要否は京都市の担当窓口に、税務は税理士に、労務は社会保険労務士に、それぞれご確認ください。

株式会社Tabiji Partnersは、宿泊事業のM&A仲介として、売却・事業承継のご相談を承っております。なお、旅館の経営コンサルティングは現在新規のご依頼を承っておりません。本記事は、経営を続けるか承継・売却するかを判断するための情報として整理したものです。

株式会社Tabiji Partnersのホテル・旅館領域での支援実績は、ホテル・旅館の支援実績のページで、成約(カプセルホテル1件・無人ホテル2件・地方旅館1件)、M&A戦略構築(静岡県等の旅館4件)、経営コンサルティング(3件。現在は新規募集を停止しております)に分けてご紹介しています。なお、当社は不動産の売買仲介は行っておりません。

関連ページ

本記事で参照した公的資料(2026年9月29日確認)

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